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Dragon Force - (2017) Reaching Into Infinity

2017/ 05/ 31
                 
Dragon Force - Reaching Into Infinity


メロスパーならば知らぬ者はいないであろう、超エクストリームなメロスピを体現するDragon Forceの2017年の最新作。

実はワタクシ、Dragon Forceにはこれっぽちも興味がありませんでした。
というのは、メロスパーを自覚していた頃に1st「Valley Of The Damned」から3rd「Inhuman Rampage」までリアルタイムで聴いていました。

その結果として、全く琴線に触れなかったのです。
それが何故なのか?というのは、この最新作を聴いて何となく理由がわかりました。

1stから3rdまでのDragon Forceの印象は、ド派手でエクストリームなメロスピというものでした。
元々、速い曲好きだったんですが、このバンドは自分にとって速すぎました。
それは疾走感を感じさせないぐらいのテンポであり、それはデスメタルやブラックメタルの領域まで踏み込んでいました。

しかし、速さを究極まで突き詰めるこのバンドにも、シンガー交代という転機に大きな変化が訪れます。

交代直後の作品では、これまで「エクストリームな疾走曲」と「バラード」という2系統の曲しかない不文律を破り、様々なスタイルの楽曲を収録するようになりました。
もちろん、旧来の作風の楽曲も収録しながらです。

そうなってからの3作目が本作です。

元々聴いてみようと思ったのは、日本のR&Rバンド「Ziggy」の大ヒット曲である「Gloria」がカヴァーされると発表されたからです。
Ziggyは大好きなバンドなので、正直それ目当てでした(笑)

そして、聴いてみて驚きました。
今までと違う!

イントロから導かれる事実上の1曲目である「Ashes Of The Dawn」は勇壮なメロディがイントロに配されたパワーメタルナンバーであり、過去のエクストリームな速さではなく、力強い疾走を感じさせるナンバーで、今までの印象とは全く違う。
シンセも近年既にひとつのジャンルとして定着した「シンフォメタル」を感じさせるスケール感を感じさせるアレンジを施してあり、かつての「めまぐるしいハチャメチャな疾走感」を感じさせない成熟したバンドの姿を見せてくれています。

ま、それでもそこいらのバンドに比べれば充分速いんですが(笑)

もちろん、「Judgement Day」「Astral Empire」「Midnight Madness」「Land Of Shattered Dreams」辺りは、旧来のドラフォスタイルというべき曲調です。

ですが、個人的にはやはり「今までと違う」と感じた「Ashes Of The Dawn」「Curse Of Darkness」「Our Final Stand」「Hatred And Revenge」辺りが気に入りました。
彼らなりのスラッシュ「War!」もいいですね。

で、なぜ昔の印象と随分変わっているのか?

それは、おそらくギターソロだと思います。

デビュー時は「様式美」「構築美」という言葉とは程遠い、ド派手な俗に言う「フラッシー」なギターソロが多かったように感じます。
しかし、今作の自分が気に入ったソロは、派手さメインのフレーズもありますが、それなりに展開を考えて作られているように感じます。
個人的にはそういう「メロディアス」「クサい」「構築美」と形容されるフレージングの方が圧倒的に好きですし、印象に残ります。

しかも、元々の作曲能力は群を抜いて高いバンドです。
テンポを落とす事により、聴かせどころが分かり易くなったと思うし、印象的なフレーズがキャッチーさを倍増させていると思います。

まさか、今こんなバンドになっているとは思いませんでした。
本当に食わず嫌いはいけませんね。
とりあえず、シンガーが変わってからのアルバム2枚も聴いてみようと思います。

あ、Gloriaも良いですよ。
原型、全くありませんが(笑)
                 
        

Kelly Simonz - (2017) Overture Of Destruction

2017/ 04/ 09
                 
ks - od_


日本が世界に誇るギターマエストロでありマルチプレイヤー、Kelly Simonz氏の新作が届けられました。

知ってる人には説明不要だと思われますが、Kelly Simonz氏はイングヴェイが生み出した「ネオクラシカル」というジャンルにおいて、絶大な影響力と支持を得るアーティストです。

これが、一般的なイメージでしょう。多分。

一般的なイメージと表現したのは、実際問題としてイングヴェイ直系と一括りにするにはちょっと無理があるぐらい、音楽の幅が大きいのです。

そして、ここがアンチの叩き所でもあったりするんですね。

Kelly Simonz氏はマルチプレイヤーであるので、ギターだけではなく色々な楽器を演奏しますし(特にベースが最高なんですよ)、時にはヴォーカルも担当します。
というか、初期は全曲歌ってましたし。

その声は特徴的で、僕個人はすごく好きなのですが、一般的なメタラーから高い力量と評価されているシンガー達に比べると、力強さや音域という点では劣ります。
なので、ヘヴィメタルとしてどうか?という観点で評価すると、確かに低い評価になるのでしょう。

ですが、現在では(過去2作も含め)元GalneryusのYAMA-B氏が参加しているので、少なくともメタル曲におけるその弱点は克服されているし、まあ何より僕はKelly氏の歌が好きなので基本問題無いです(笑)

さて、アルバムの感想ですが(笑)、もはや心配無用のKelly Simonzクオリティです。

メタラーにはYAMA-B氏が吠える「Road To Destruction」「Road To Ruin」「Regeneration」といった、タイプの違うメタルソングがツボにはまるでしょうし、「Close Your Eyes」「All I Need Is Your Love」といった曲はKelly氏の歌が爽やかに映えるメロハーです。
「Sea Of Tears」はタッチやニュアンス、トーンが最高な泣きのギターバラードで、いやいやKelly Simonzはテクニカルインストや!って方には、「Majestie Prestigio」「Opus #3」でその溜飲を下げるはず。
バラードソング「You're My Love」は、そのKelly氏の特徴的なせつない歌声が非常にはまっているナンバーです。
本編ラストの「'The Wrath Of Gaia' Suite No.1-3」は、すげー似てる曲があるんですが、これはKelly氏なりのトリビュートと解釈しました。

めんどくさいアンチがまた騒ぐんだろうなーと思いますが、その元ネタって言われそうな曲は僕も大好きなので、結局問題無いです(笑)

しかし、相変わらずKelly氏のアルバムは「美しい」ですね。
単純に小奇麗なサウンドって事ではありません。

誇り高く、気高く、そして儚い。

彼の美学がアルバム全体に毛細血管のように張り巡らされています。
少なくともこのジャンルにおいて、これほどまでに美しい音楽を奏でる人を僕は知りません。
テクニック的な凄さもそうですが、僕はこういうメンタルな部分がKelly氏を唯一無二・孤高の存在たらしめているのではないかと思います。

ま、早い話が最高って事です。
買いましょう。
これで「買って損した」って思うなら、このジャンル向いてません。マジで。
                 
        

Kreator - (2017) Gods Of Violence

2017/ 03/ 16
                 
k - gov


ドイツのスラッシュメタルバンド、通産14作目の新作です。

私はスラッシュメタルにはあまり造詣は深くなく、それこそ四天王と呼ばれるバンド群ですら、あまり知りません。
では、何故この作品を聴こうと思ったのか?

それはネットにおける宣伝等で、どうやら非常にメロディアスだという事が伝わってきました。
元々サウンドがアグレッシヴでもメロディアスなら、愛聴することができます。
例えばメロデスは割と聴きますし、スラッシュならばTestament辺りは作品にもよりますが、大好きなバンドだったりするのです。

スラッシュメタルに限らずですが、「これがバンドの個性」と世間から評価されている部分を逸脱する、もしくは新しい要素を取り入れるというのは、かなりの勇気が必要となります。
そして、それによって生み出された作品の完成度が、通常より遥かに高いハードルを越えていかねば、評価はされません。
評価が「悪くない」程度では、「良くない」とほぼ同義になります。
ニューメタルやモダンヘヴィネスが流行した際、それに擦り寄っていったメタルバンドの多くがシーンから沈んでいったのを覚えている人も多いでしょう。

なので、興味があると同時のKreatorの新作におけるメロディの導入というのは、そういった要素・危険性を孕んでいるのでは?と思っていました。


アルバムを聴くまでは(笑)


いやー、驚きました。
もちろんポジティブな意味で、です。

とんでもない完成度です。
年初において本年度ベストアルバム候補の登場ですね。
このアルバムが年末のベスト10みたいなのに入らなかったら、今年はとんでもない豊作ですよ(笑)

アルバムにおける勇壮なメロディを湛えた序曲「Apocalypticon」より怒涛のスピードチューン「World War Now」につながるメタルの様式美満載なオープニングでツカミはオッケーです。
オッケーというか、がっちり首根っこ押さえられるぐらいの勢いです(笑)

この1~2曲目に代表されるように、アルバムトータルでドラマ性が半端ない作品です。
このバンドの歴代のアルバムをほとんど知らないので、バンドのカタログで比較はできないのですが、シンフォメタルやエピックメタルが大好きな私が「おおっ!」と思うシーンが矢継早に登場します。
速い曲だけでなく、ミドルテンポやスローテンポなパートでもそれらは登場しますし、かといって狙い過ぎのクサさもあまり感じません。

これにはやはりフィンランド人ギタリストである、サミの存在が大きいのでしょう。
明らかにドイツ産とは違う、北欧の冷気を感じさせるギターフレーズが存在し、それに耳を惹かれるシーンが多くありました。

余談ですが、ドラマ性の演出としては、大きく分けてメロディ先導型と展開先導型の二つがあると個人的には思っています。
プログレサイドだと展開先導型(大胆なテンポ・リズムチェンジやサウンドの変化等)が多いと感じまずが、このバンドのドラマ性はメロディ先導型と思います。
サビ後の大胆なクサメロを挿入して、それに合わせてスローテンポになるとか、そういうやつですね。

そして、凡百のクサメロバンドと一線を画すのが、シンガーであるミレでしょう。
叫びメインの歌唱なんですが、メロディアスでもあるし存在感も凄まじいです。
メロディアスかつドラマ性重視でありながらヘヴィで攻撃的でもある、これほど濃密なサウンドを真正面からねじ伏せてしまう。
正直、ちょっと憧れます。

そして、このアルバムはドイツナショナルチャートにおいて、1位の座を奪取したそうです。
ゴリゴリのスラッシュアルバムがナショナルチャート1位!
日本では絶対にありえないですね(笑)
なんとも羨ましい話ですが、それがフェイクではない完成度であることは間違いありません。
                 
        

Black Master Mountain - (2017) Chronus

2017/ 02/ 08
                 
bmm - chronus


80~90年代の関西HR/HMシーンで活躍したミュージシャンが結集したバンドの1stシングル。

このCDの発売の記事を発見した時は目を疑いました。
シンガーにあのWolfの松本龍以氏の名前があるではないですか!

Wolfというのは、1986年にライブデビューした大阪のメタルバンドなのですが、松本龍以氏は同バンドの凄腕ギタリスト黒木政彦氏と並ぶ2枚看板でした。
ちょっとハスキーがかったハイトーンが魅力で、歌もべらぼうに巧い。
ハイトーン系にありがちなヘナチョコさは無く、かつエモーショナルな歌い回しも魅力的なシンガーです。

しかし、Wolf解散後は実家の家業を継ぐということで音楽業界からは引退したのです。

セッション参加等もほとんどされておらず、Preciousの高濱祐輔氏のソロアルバム「Prototype」に参加したぐらいしか記憶にありません。
あとはオムニバスアルバムぐらいでしょうか。

とにかく音源が少なく、また引退されたので、新しい歌を聴ける事は無いと諦めており、Wolfの「Wolf」「Some Aspects Of The Morment」「Roll Over」を大事に聴いていこうと思っていました。

そしたら、突然のシーン復帰!

一部の人には大事件です。
そして、僕は一部の人なんです(笑)

まずは、ドライブ感を感じるギターリフの「The City Of The Dead」から始まりますが、これでもうやられますね(笑)
往年のジャパメタ好きにはたまらないものがあります。
特にギターのトーンでしょうか?

2曲目のChronusは叙情的なミドルテンポナンバー。
孤独とか哀愁とか、そういうキーワードを感じさせる雰囲気を持っています。
タイトルにはギリシャ神話などで語られる時の神の名前であり、歌詞にもOrcusなる単語が出てきます。

3曲目Look Back On The Pastもミドルテンポなナンバーですが、Chronusとは少し赴きが違う感じはします。
やはり歌詞にAcheronやCharonといった単語が出てきます。

明確にストーリーがあるわけではないですが、神話系の世界感をベースに敷いているようで、日本語部分しかわかりませんが、抽象的な表現を用いています。
クレジットにはAll Songs Composed by MANABU ITO。
おそらく、ギタリストの世界感なのでしょう。
初回盤のみに収録されているボーナストラックLight Of Loveは、歌詞のクレジットが松本龍以氏となっており、これが割とピュアなラブソングっぽくて、明確に世界感が違います。

楽曲において耳を惹いたのは、ギターとキーボードでしょうか。
正直、松本龍以氏の歌が聴ければ満足とすら思っていたんですが、予想以上に良い仕事をしていました。
全編で弾きまくりという系統ではなく、要所要所で締める系です。
テクニックではなく、トーンとアレンジでかっこいいと思いました。

松本氏の歌に関しては、もう脱帽ですね。
引退していたのに全く衰えが無い。
期待していた以上のパフォーマンスが収録されていました。

しかし、公式HPに書かれていたんですが、始動2012年で初ライブと音源が2017年って、随分時間がかかったんですね。
まあ、全員それなりのキャリアを経ている年齢っぽいですし、仕事も家庭もあるのでしょうから、途中で分解せずライブや音源まで漕ぎ着けた事に素直に喜びましょう。
                 
        

Firewind - (2017) Immortals

2017/ 01/ 29
                 
fw - imo


Ozzy Osbourneにも参加したギリシャ出身のギタリストガス・G率いるヘヴィメタルバンドの5年振り8作目です。

本作はコンセプト作品となっており、紀元前の戦争として有名な「ペルシャ戦争」における「テルモピュライの戦い」と「サラミスの海戦」を題材としています。
「サラミスの海戦」は馴染みが無いのですが、「テルモピュライの戦い」といえば僕の好きな映画「300(スリーハンドレッド)」で描かれたあの戦いですね。
レオニダス王を含む300名の勇敢なるスパルタの兵士が、ギリシアの大軍に挑むという、熱い熱いお話です。


これが燃えずにいられよか(`・ω・´)


さて、アルバムの内容ですが、今作はデニス・ワードが外部プロデューサー・エンジニア・作詞家として前面参加、バンドは今までとは違う制作環境で今作を制作しています。
だからといって、ソングライティングに大きな変化があるわけではないですが、いわゆる「メロパワに寄せてきた感」は感じます。
アルバム全体に統一感があるという感じでしょうか。

おそらくですが、元々ガス・Gは器用なソングライティングができる人です。
ソロアルバムを2枚出しているんですが、Firewindと結構違う路線の楽曲を揃えています。(Firewindに近い感触の曲もあることにはある。)
オジーバンドにギタリストとして参加し、それ用のマテリアルとして用意した楽曲を録音したと思われるのですが、「Brand New Revolution」などどう聴いてもオジー用でしょって曲です。

なので、こういう「メロパワ寄せる」ソングライティングができるのは、多分今まででも出来たはずです。
それをしなかったのは、ガス・G自身がリスナーに媚びてると感じるのか、どこかの二番煎じとなるのを好しとしなかったのか。

何にせよ、上記にある「器用な部分」を捨てメロパワにフォーカスした結果、ギリシャ人が持ちうる独特の哀愁を活かした大仰でパワフルな作品となりました。

実はスネア裏打ちの典型的な疾走メロパワ曲は「Hands Of Time」しか無いんですが、スネアが表拍で鳴るパワフルなツーバスナンバー「Wars Of Ages」「Warriors And Saints」、ドラマティックな展開の「Live And Die By The Sword」辺りが聴く側のテンションをぐっと高めてくれ、メロパワが好きな人の印象を良くしていると思います。
ボーナスの「Vision Of Tomorrow」も非常にかっこいいメロパワです。

また、本作はミドルヘヴィなナンバーがありません。
アップテンポなナンバーが多く収録されており、その多くが躍動感溢れるアレンジを施されている為、非常に聴きやすく感じました。
当然、「Lady Of 1000 Sorrows」というガス・Gお得意のバラードもあります。

そして、今作よりシンガーに元Metaliumのヘニング・バッセが加入しています。
また、既に触れた通り、今作はコンセプト作品であり内容は戦記物語。
ヘニング・バッセの熱くひたむきな歌が、楽曲の熱さを倍増させているような感覚を覚えます。

前任者のアポロ・パパサナシオも巧いシンガーでしたが、その声と歌いまわしはどちらかと言えばブルージーでエモーショナルというか、もっとハードロック寄りのサウンドに合っているような感じはありました。
ヘニング・バッセは、1stや2ndで歌っていたステファン・フレドリックに近いかもしれません。
個人的にFirewindは1stが一番好きだったので、これは嬉しい変化でした。

結論としては、最高傑作といって差し支えない作品と言えます。
コンセプトの採用、メンバーチェンジや外部スタッフの起用が的中し、メタルとしての攻撃性が上手く突出したのではないでしょうか。
「正統派で演奏も巧く丁寧に作られているけど、何か突き抜けてこない」といったFirewindを大きく前進させたように感じます。

Firewindを未聴という方でメロパワ好きの人って人には、まずコレをオススメしますね。

書き忘れたようになっていますが(笑)、勿論ガス・Gのテクニカルなギターも健在です。
それが脇役と感じるほど、この作品は充実しているということです。